スローリーディングという考え
鈴木康之さんの「名作コピーの教え」という本の中で、おすすめの読書法が紹介されている。スローリーディングという方法だ。
スローリーディングはコピーライターがものを読むときの鉄則です。書く人は時間をたっぷりかけて書いています。速読は同じ物書きに失礼なつきあい方です。
この文章を読んだ時にものすごい衝撃が走った。
フリーライターとして実績がなくスタートしたわたしは、より速く、より多くの情報に目を通さなければならないと、半ば強迫観念になっていたからだ。
けれど、速読に関する本を読んで取り入れてみてもうまくいかない。むしろ記憶に残らず、楽しめない。(速読で読んだ本にはまったく愛着が生まれない)
そもそもわたしにとって本といえばずっと物語だった。時空を超えて本の世界に浸るには、読み飛ばしや必要なところを抜きだして……なんて技は通じない。一文でも目をそらさずに心をしずめて深く、深く入りこまなければ何も受け取れずに終わる。
だからこそ、鈴木康之さんが「速読は失礼です」と言い切ってくれて、すごくすっきりしたんだと思う。
そしておもしろいことに、「しっかりと向き合って」本を読むことで、結果的に読書量が増えた。2019年はほとんど読めなかったのが、今年は読書が生活の一部になっている。(仕事量は変わらず)。